経営者のための税金に関わる資金計画

2011年03月07日

経営者のための税金に関わる資金計画     第3回 「落とし穴にはまらない!源泉所得税納付のコツ」

第3回 
「 落とし穴にはまらない!
    源泉所得税納付のコツ 」

D(ディレクター)税理士ADめぐみの会話形式で説明展開していきます!(会話形式のため、文末が必ずしも丁寧語でないことをご容赦ください)

ADめぐみ「今回は私がいつも給料表を見ながらガッカリしてい
      る話ですね・・」
D税理士「天引き、つまり源泉所得税の話だね。給料をもらう側
      からすれば、その分手取りが減るということだから
      ね」

ADめぐみ「国民の義務だとは分かっているんですが、つい・・。
      さ、本題お願いします」
D税理士「そうしよう。源泉所得税は会社や事業主側からすれ
      ば、給料を支払う際、従業員から天引きをして、それ
      を税務署へ納付する必要があるということだよね。
      他には、我々税理士への報酬や、弁護士への報酬
      を支払う際も、源泉所得税を徴収して納付する義務
      があるんだ」

ADめぐみ「言ってみれば源泉所得税は会社のお金ではないわ
      けですね。あくまで従業員等のお金を一部預かって、
      それを納付している」
D税理士「その通りだよ。もともと自分(会社)のお金ではない
      分、これを滞納すると重いペナルティ
があるので要注
      意だ。1日でも滞納すると納付税額の10%(自主的
      に納税すれば5%)を追加して払う必要がでてくる」

ADめぐみ「ヒャー!容赦ないですね。たしか納付は天引きした
      月の翌月10日までに行う
んですよね?」
D税理士「原則はそうだよ。ただ、給料の支払いを受ける従業
      員が常時10人未満の場合
は、特例の申請書を出す
      ことによって、半年に1回、まとめて納付することが
      できるんだ」

ADめぐみ「あ!それ知っています。
      1月〜6月分に関しては7月10日まで、
      7月〜12月分に関しては1月10日(納期限の特例
      を受ければ1月20日)までの2回

      にまとめればいいんですよね?」
D税理士「ただ、便利ではあるが、君のような『うっかり八兵衛』
      だと、ついつい使ってしまい納期の時期になって慌て
      る、といった落とし穴にはまりやすいので要注意だ
      よ」

ADめぐみ「先月に引き続きまた私のことをそうやって・・!!
      でも・・確かに事前にきちんと準備しておかないと、金
      額をまとめた分だけ慌ててしまうかもしれませんね」
D税理士「源泉所得税を滞納していると銀行からお金が借りら
      れないこともあるし、やはり常に意識をして期限まで
      にきっちり納付するべきだろうね。
      忘れないように、仕訳の際『預かり金所得税』という
      科目で処理をし、毎月、その額を試算表でチェックす
      るクセをつける
といいだろう」

ADめぐみ「源泉所得税の納付にも、資金計画が必要ということ
      ですね」
D税理士「お!まともな意見だね」

ADめぐみ「だって、私の給料から天引きされた大切な税金です
      もの。ちゃんと納付してもらわないと困ります!
      あの天引きさえなければ、もっと美味しいものを
      いっぱい食べて・・・」
D税理士「やっぱり君は『うっかり八兵衛』の名が良く似合うよ
      (笑)」

⇒POINT  D税理士からのアドバイス
源泉所得税は、源泉徴収した月の翌月10日が納付期限です。滞納のペナルティが大きい税金ですので、毎月、カレンダーにチェックを入れておくなど忘れない工夫をしましょう。
納期の特例を受けている場合は、半年に1回の納付ですみますが、その分「思わず使ってしまい慌てる」ということがないよう、資金計画をきちんと立てるようにしましょう。

税理士 岡田 誠彦 著


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次回は「資産を持っているだけで税金を納めるって本当?」です。
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2011年02月07日

経営者のための税金に関わる資金計画     第2回 「3期目にご注意!はじめての消費税納税準備その2」

第2回 
「 3期目にご注意!はじめての消費税納税準備 その2 」

D(ディレクター)税理士ADめぐみの会話形式で説明展開していきます!(会話形式のため、文末が必ずしも丁寧語でないことをご容赦ください)

ADめぐみ「早速、前回の続きをお願いします!」
D税理士「消費税は、君の性格と同じで『つい、うっかり・・』
      といった、水戸黄門でいう「うっかり八兵衛」のような
      ことが起こりやすい税金なので、月々、消費税納税
      のためのお金を積み立てた方がいい、という話まで
      したよね」

ADめぐみ「あのぉ。私は「うっかり八兵衛」ではなく、お風呂の
      似合う「お銀」だと思っているんですが・・。まあ、
      いいです。では具体的に、その積み立てる金額の目
      安を教えてください」
D税理士「消費税の納税額は、基本的に「売上などの際に預か
      った消費税」から「仕入れなどの際に支払った消費
      税」を差し引くことで決まるよね」

ADめぐみ「事業をやっていれば、消費税を預かる立場と、支払
      う立場の両方の役割をこなす。だから、納める消費税
      の額は、その差額を求めることで計算できるわけです
      ね」
D税理士「その通りだよ。だから、帳簿を税抜処理(消費税別建
      て)でつけ、毎月、試算表をチェックする。
      そして仮受消費税の額(預かった消費税)から仮払
      消費税の額(支払った消費税)を差し引いた金額

      なるよう納税資金を積み立てていけばいいんだ」

ADめぐみ「慣れてしまえば、簡単で自動的な作業になりそうで
      すね」
D税理士「今のが『原則課税方式』なんだが、実は、消費税に
      はもう一つ『簡易課税方式』という、前々期の売上が
      5,000万円以下の場合のみ選択できる簡便的な方
      法がある」

ADめぐみ「具体的にはどういうことですか?」
D税理士「消費税額を計算するうえで、支払った消費税の額を
      全く考慮しないという方法だ。つまり、預かった消費
      税額のみで納税額が決まってくる」

ADめぐみ「え!随分、雑な方法ですね」
D税理士「だから簡易という名なんだよ。預かった消費税の額
      に、業種ごとに決まっている一定率(みなし仕入率)
      を掛けて算出した額を「支払った消費税」とみなす

      だ。なので、この方式を選択した場合は、売上高にか
      かる消費税額(預かった消費税額)に(1−みなし仕
      入率)を掛けた金額
となるよう納税資金を積み立てて
      いけばいいんだ」

ADめぐみ「文字にすると難しそうですけど、実際は簡単そうで
      すね」
D税理士「慣れればすぐだよ。大事なことは、消費税について
      は、納税についての意識とそれに向けた資金計画を
      しっかりたてることだ。君のような「うっかり八兵衛」
      では大変なことになる」
ADめぐみ「だから、私はお銀ですって!」

⇒POINT  D税理士からのアドバイス
消費税は「その存在を忘れたり」「思わず使ってしまう」といった危険性のある税金だけに納税にむけた資金計画をしっかり行いましょう。消費税には「原則課税方式」と「簡易課税方式」の2つがあります。どちらの方式をとった場合も、消費税額を予測することは簡単ですから、その計算をもとに毎月積み立てを行うことをお勧めします。これで、3期目も怖くありません!

税理士 岡田 誠彦 著


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2011年01月17日

経営者のための税金に関わる資金計画     第1回 「3期目にご注意!はじめての消費税納税準備その1」

第1回 
「 3期目にご注意!はじめての消費税納税準備 その1 」

D(ディレクター)税理士ADめぐみの会話形式で説明展開していきます!(会話形式のため、文末が必ずしも丁寧語でないことをご容赦ください)

ADめぐみ「今回からいよいよ私たちもTACデビューですね!」
D税理士「経営者の方々に少しでも役立つよう頑張ります!
      責任重大だ。」

ADめぐみ「では早速本題です。消費税ってそんなに【ご注意】
      なものなんですか?」
D税理士「そうなんだ。実は数ある税金の中でも、消費税は
      納税に向けきちんと資金計画をたてないと危険な
      ものの代表格だ」

ADめぐみ「なぜですか?」
D税理士「消費税は、資本金1000万未満の一般的な中小法
      人や、個人事業の場合、2期目まで納める必要はな
      い。しかし、3期目からは、突然、消費税の納税義務
      が発生することになる
んだ(前々期の課税売上が
      1000万超の場合)。
      そのため、消費税の存在自体を忘れてしまい、3期
      目の決算期になってはじめてその存在に気づき資金
      繰りに奔走する、という事態も発生しやすい」

ADめぐみ「2期間も消費税を納付する必要がない状態が続い
      たら、それがいつまでも続く錯覚を起こしてしまうのも
      分かる気がします」
D税理士「私もその気持はよくわかるよ。だからこそ『3期目は
      消費税!』と意識を持つことが重要だと思うよ。
      さらに、消費税は、赤字でも納付する可能性のある
      税金
のため、『赤字だから税金は払わなくていい』
      という思い込みは持たない方がいいだろうね」

ADめぐみ「消費税は『預かった消費税』から『支払った消費税』
      を差し引いて払うのが原則だから、赤字であることと
      直接関係なさそうですもんね」
D税理士「ああ。赤字でも消費税を納付している事例はたくさん
      あるので、基本的に消費税は毎期発生するものと
      思っていた方がいいだろう」

ADめぐみ「まだ、消費税に潜む【ご注意】はありますか?」

D税理士「最後にもう一つ。消費税には『思わず使ってしまう』
      という危険性
もあるんだ。預かった消費税は本来、
      納税まで別途管理しておかないといけないのだが、
      思わず運転資金として利用してしまい後で納税資金
      がなくなるといったことが発生しやすいんだ」

ADめぐみ「私も財布に現金が入っているとすぐに使ってしまう
      ので、その気持ちはよく分かります」
D税理士「君のはただの無駄遣い、経営者の方々は『やむを
      えなく』だよ」
ADめぐみ「そうですね、すみませんでした!
      では、最後に。【ご注意】が必要な消費税納税につい
      ての対策を教えてください」

⇒POINT  D税理士からのアドバイス
消費税は通常3期目から納税義務が発生します。また、赤字であっても納付する可能性の高い税金です。
そこで、納税のための通帳をつくり3期目からは毎月一定額を
(その金額の目安は来月の説明となります)消費税納税用資金として積み立てることをお勧めします。
これで急きょ資金調達に奔走するといったことが発生しないうえに、経営者として、日々の数字への感覚も研ぎ澄まされていくことになります。

税理士 岡田 誠彦 著


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次回は「3期目にご注意!はじめての消費税納税準備その2」です。
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