2013年06月03日

「代休」を与えたのに未払い残業代を請求された

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
------------------------------------------------

「代休」を与えたのに未払い残業代を請求された

【質問】
先日退職した従業員から、休日出勤分の未払い残業代を請求されました。
休日出勤をした従業員に対しては代休を与えていたため、請求は納得できません。


【答え】
代休は休日に勤務した従業員に対して事後に恩恵的に与える休日であり、休日に出勤させた事実を消すものではありません。
当然、割増賃金の支払い義務が生じることとなります。


 特に中小企業の場合、ご相談の方のように、経営者が単に「知らなかった」ばかりに、意図せず未払い残業代を発生させてしまい、後々問題になることがあります。

 今回のご相談のポイントとなる「代休」と、その似たような言葉である「振替休日」のちがいについてご説明いたします。

 「代休」というのは、休日に勤務した従業員に対して事後に恩恵的に与える休日を意味します。
 この場合、休日に出勤させた事実は消えません。
 当然、割増賃金の支払義務が生じることになります。

 従業員に休日出勤をさせても、代休さえ与えればすべてが免責されると誤解している経営者の方もけっこういらっしゃいますので、この点は注意が必要です。

 一方「振替休日」とは、あらかじめ労働日を特定して休日と労働日をチェンジすることです。
 例えば工場等で、週の途中に祝日等があり、中途半端に機械を止めるくらいなら週末等に休日をチェンジしたほうが、効率がいい―といった場合に使われます。

 この振替休日を利用すると、休日が単に労働日に変換されるだけなので出勤させても割増賃金の支払義務は原則として生じません。

 ただし、同一週内で振替えられなければ0.25分の割増賃金の支払い義務が生じる場合があることにご注意ください。

 具体的な規定例を示しておきますので、ご参照ください。

【規定例】
(休日の振替)
第○条 会社は、業務上の都合によりやむを得ない場合は、所定休日を他の日に振り替えることがある。
2.前項により休日の振替を行う場合は、前日までに振り替える休日をあらかじめ特定し従業員に通知する。この場合、振替日は原則として同一週内とする。
3.休日を振り替える場合は、1日を単位とし、時間単位は認めない。
4.休日を振り替えた場合でも、原則として4週間のうち4日の休日は確保する。

(代休)
第○条 会社は、業務上の都合によりやむを得えず所定休日に労働させた場合は、代休を付与することがある。
2.前項の代休は、休日勤務した日から1カ月以内に取得しなくてはならない。


 あまり従業員を疑いたくはないのですが、中には規定の杜撰さに目を付けて、退職時にわざと?!未払い残業代等を請求するように見受けられるケースがなきにしもあらず・・・
 経営者はこうした規定にも一通りの理論武装が必要だと思います!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

浦田泉税理士 
    浦田泉税理士事務所
      浦田 泉 税理士
     東京都千代田区二番町
     1−2 番町ハイム737




QRコード
QRコード