2012年11月01日

事業年度途中で役員報酬減額は要注意!

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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事業年度途中で役員報酬減額は要注意!

【質問】
当社の上半期が終了し、中間で試算表を見直してみました。
当期は業績が芳しくなく、下半期にも大きな売上が期待できないため、資金繰りと利益確保のために、社長である私の給与を減額しようと思っています。
何か注意すべき点はありますか?


【答え】
役員給与を改定する場合、税務上の損金算入が認められる「定期同額給与」の範疇に収まるかどうか、に十分注意を払うことがポイントです。
利益を確保するために役員給与を減額するという場合、損金に算入できなくなる可能性あります。


 業績が悪化してしまった場合の対応策に頭を悩ます中小企業経営者は数多くいらっしゃることと思います。
 支出を抑えて利益を確保したい場合には、まずは経営責任者として社長である自分の役員報酬を削ることを真っ先に考える方もいらっしゃることでしょう。(役員報酬は支出そのもの、損金そのものですからね)

 ご相談の方のように、上半期の業績が思わしくなく、事業年度の途中で役員報酬の減額を考える経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

 しかし、役員報酬の金額変更は、増額も減額も注意しなければいけません。
 利益を確保するために役員給与を減額するという場合、損金に算入できなくなる可能性があるからです。

 役員給与を改定する場合のポイントは、税務上の損金算入が認められる「定期同額給与」の範疇に収まるかどうか、に十分注意を払うことです。

 改定後の役員給与が定期同額給与として認められるには、その改定が
(1)事業年度開始の日から3カ月以内に行われる定時改定
(2)役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更等が生じた場合の改定
(3)経営状況が著しく悪化したことによる減額改定

のいずれかに該当しなければなりません。

今回、ご相談の方は(3)に近いように思いますが、「経営状況が著しく悪化した場合」とは、
(ア)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与を減額せざるを得なくなった場合、
(イ)取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与を減額せざるを得なくなった場合、
(ウ)業績や財務内容または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の減額が盛り込まれた場合

を指します。

 つまり、単に利益を確保するためだけの改定では「定期同額給与」とは認められず、損金に算入できない可能性があります。
 御社の場合、条件に該当するかどうかを検討してください。


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浦田泉税理士 
    浦田泉税理士事務所
      浦田 泉 税理士
     東京都千代田区二番町
     1−2 番町ハイム737


   
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