2011年12月05日
経営者のための税金に関わる資金計画 最終回 「経営者最後の大仕事 事業承継を見据えて」
最終回
「経営者最後の大仕事 事業承継を見据えて」
「経営者最後の大仕事 事業承継を見据えて」
★D(ディレクター)税理士とADめぐみの会話形式で説明展開していきます!(会話形式のため、文末が必ずしも丁寧語でないことをご容赦ください)
ADめぐみ「千里の道も一歩からというように人には誰でも
「はじめて」がありますが、もちろん「終わり」もあり
ます。」
D税理士「お!君には珍しく重みのある言葉だね。つまり、
経営者にとってみれば、自分で立ち上げ大きくした
事業から引退するときの話となる。
「はじめて経営者」だった人が、事業を大きく育て、
経済活動に貢献し、ベテランとなり、やがては引退
していく、今回はそんな時の話だよ。」
ADめぐみ「中小企業の場合は、自分の子供に経営を譲る
パターンが多いんですよね?」
D税理士「そうだね。その場合、個人事業と法人の場合とでは
少し事情が異なってくるんだ。」
ADめぐみ「具体的にはどういうことですか?」
D税理士「実は個人事業の場合、事業主に万が一のことが
あると、事業の継続自体が危ぶまれることがある
んだ。たとえば、事業主の預金というのは、事業用
であろうと生活用であろうと関係なく、相続が発生
した(亡くなった)時点で一度凍結されてしまう。
これは、事業を営んでいる人にとっては大変なこと
だよ。給料の支払いや事業経費の支払はまってくれ
ないから、突然、資金が調達できないなんてことも
でてくるんだ。」
ADめぐみ「もし、事業主の方が所有している不動産を事業用
として使用していたら・・・」
D税理士「そうなんだ。個人事業主に相続が発生した場合、
その所有物すべてが相続税の対象となる。だから
事業主が所有している不動産(土地や建物)を使用
して事業を行っていた場合は、相続税を支払うために
その不動産を処分する必要がでてくるかもしれな
い。」
ADめぐみ「その場合、事業の継続ができなくなるというわけ
ですね・・。たしかに個人事業の場合は、たとえ事業
用の資産であっても、すべてはその方の「個人名義」
ですもんね。」
D税理士「だから一般的には、誰かに経営を譲る事業承継
には法人の方が適していると言われているんだ。」
ADめぐみ「そうか!法人なら、事業に使用している資産を
『法人名義』に変更することも可能ですもんね。」
D税理士「そうだね、もちろん、個人から法人に名義を変える
ときにも考えなければいけない点はたくさんあるが、
少なくとも、経営者に突然の不幸があっても、法人
名義の預金が凍結されたりするようなことはない
よ。」
ADめぐみ「それなら、事業は問題なく継続できそうですね。」
D税理士「法人の場合は、「会社の株式」という形で代表者
は資産を所有していることになる。その場合、たとえ
ば事業承継を見据えて、経営を継がせる息子等に、
事前に計画的にその株式を贈与、譲渡していくこと
が可能だよ。いわゆる事業承継対策と言われるもの
だね。」
ADめぐみ「経営者というのは、スタート時点からそれを後進に
道を譲るまで、常に考えなければいけないことが
あるんですね。本当に大変だ!」
D税理士「それだけ、やりがいがあるということだよ。君も
早く、すべてを自分で考え行動できる立派なディレ
クターになってほしい!」
ADめぐみ「はい。頑張ります!!!」
⇒POINT D税理士からのアドバイス
経営者はスタートからゴールまで、常に税金とおつきあいすることになります。なかでも経営者にとって最後の大仕事が「事業承継」です。その際、相続税や贈与税といった税金が関連してきます。一般的には法人のほうが事業承継をうまく行いやすいと言われていますが、ケースバイケースですので、詳細な検討を加えるようにしてください。 今回でこのシリーズは最終回となります。1年間ありがとうございました!!経営者のみなさま一人一人が、事業で成功を勝ち取ることを願っております。 |
税理士 岡田 誠彦 著
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