2010年06月16日

業務中に起こした交通事故の損害賠償金

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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業務中に起こした交通事故の損害賠償金

【質問】
 従業員が業務中に交通事故をおこしました。被害者の方に損害賠償金をお支払いすることを決めました。
法人税の上では、交通違反の罰金が損金にならないと聞きましたが、賠償金も損金にならないのでしょうか。


【答え】
 会社の業務遂行に関連するもので、かつ、故意または重過失がない場合は、支出した損害賠償金は給与以外の損金の額に算入します。
ただし、法人の業務遂行に関連するものであるものの「故意または重過失があった」という場合、その損害賠償金は従業員に対する債権となります。



 今年は例年になく冬が長く、おかしな気候が続いているように思います。
入梅も遅くなるとのもっぱらの噂。そろそろ入梅してもおかしくない時期なのですが・・・

 雨の日は視界がきき辛くスリップもしやすいことから、梅雨は交通事故が増えるそうです。
 どれだけ気をつけているつもりでも、突然の交通事故は時と場所を選びません。
 自分が被害者ではなく加害者になる可能性だってありえます。
 ご相談の方のように、従業員が業務中に起こした交通事故で他人を傷つけてしまうこともあります。

 こうしたケースでは、会社が交通事故の被害者に対し損害賠償金を支払うことも少なくありません。

 この場合、損害賠償金の税務上の取扱いは、

「故意だったのか、または重過失があったのか」で異なります。

 その損害賠償金の対象となった行為などが、会社の業務遂行に関連するもので、かつ、故意または重過失に基づかない場合は、支出した損害賠償金は給与以外の損金の額に算入します。

 故意でもなく重過失もない自動車事故で支出した損害賠償金は、示談の成立などによる確定前でも、その支出の日の属する事業年度の損金に算入可能です。

 この場合、損金の額に算入した損害賠償金に相当する金額(その人身事故について既に益金の額に算入した保険金がある場合には、その累積額を自動車事故に係る保険金見積額から控除した残額が限度)の保険金は、益金の額に算入します。


 一方、損害賠償金の対象となった事故などが、法人の業務遂行に関連するものであるものの「故意または重過失があった」場合には、その損害賠償金は役員または使用人に対する債権となります。


 ちなみに、法人の業務遂行に関連しないものに損害賠償金を支払った場合も、同様に役員または使用人に対する債権扱いとなります。


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浦田泉税理士 
    浦田泉税理士事務所
      浦田 泉 税理士
     東京都千代田区二番町
     1−2 番町ハイム218

   
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