2012年02月01日

個人事業主の確定申告               第2回「かんたんな帳簿の付け方」

第2回 「 かんたんな帳簿の付け方 」

1.売上
 会計事務所に勤務していたころ、都内某所のラーメン屋さんを担当していました。その店のご主人は毎日の売上金額を翌日銀行に入金するのです。当時は「通帳に記帳すれば税務署が信じると思っているのだろうか。店から銀行に行く途中でポケットに万札をねじこむ可能性があるのは誰でもわかるのにバカな親父だ」と思っていましたがバカだったのは私の方です。
 
 この店のご主人は、毎日の売上を通帳に記帳することで売上帳を作る手間を省いていたのでした。これは売上帳を作る最も簡単な方法です。現金商売でなく得意先から振り込まれる場合は、入金先も合わせて記帳されるのでなおさら楽です。売上だけを黄色のマーカーでマークしておいてあとは集計するだけです。


2.経費
(1)青色申告の場合
 月に1冊30ページのノートを使います。見開き左ページにその日の支出を証明するレシートや領収書を貼り付けます。右ページにその日の売上や、仕入・交際費など経費項目ごとの集計金額をメモします。余白があればその日の行動記録なども書いておくと税務調査の際に思わぬ助けになることがあります。このノートを会計ソフトに打ちこんでいけば決算書が自動的にできあがります。

(2)白色申告の場合
 大きめの封筒にその月のレシート、領収書類をつっこんでおき、ひまなときに交際費、交通費、通信費などの項目ごとに分類し、それぞれの合計金額を出しておきます。
 つぎに年間集計表を作ります。横軸に1月から12月までと合計欄をとり、縦軸に仕入、交通費、交際費などの項目欄をつくります。ここに経費項目ごと、月ごとの合計金額を記入していきます。この集計表を転記すれば収支内訳書の完成です。


3.不運にも準備不足で確定申告期をむかえた場合の急場しのぎ
 一部分でも記録がとってあればそれを年換算します。12月の光熱費が5万円なら1年分は60万円とします。何も記録が残ってないときは逆算して証拠立てます。
 たとえば毎月の生活費が大体月50万円で、毎月10万円位貯金が増えているので売上と経費の差額は60万円のはず、毎日10万円くらい売上があるから(月商300万円)月の経費は全部で240万円、この240万円を仕入、交際費などに記憶を頼りに分解していきます。


次回は節税策の王道をご紹介します。

税理士 井田 直宏 著


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次回は「節税策の王道」についてです。
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