2012年02月01日
個人事業主の確定申告 第1回「青と白」
第1回 「 青と白 」
相撲界に朝青龍と白鵬が君臨するように、申告の種類には青色申告と白色申告があります。
単純に1年間の収入トータルと支出トータルの差額から所得を計算する方法が白色申告です。
これに資産や負債の年末残高一覧表(貸借対照表)をつけた申告を青色申告といいます。貸借対照表を作るには複式簿記という方法で記帳する必要があります。
相撲に例えると、青色申告はきびしい相撲の朝青龍、白色申告は白鵬ではなくて色白でわきの甘い把瑠都でしょうか。青色申告には帳簿をきちんとつけたご褒美があります。
青色申告特別控除といって、その年の所得から65万円引いてくれるのです。白色申告にはこの特典はありません。ややこしいことにこの控除が10万円の申告があります。これを水色申告といいます。うそです。これも青色申告なのですが規模の小さい不動産賃貸業では、どんなにきちんと帳簿をつけても10万円しか控除してくれません。所詮不労所得だから甘やかす必要はないという考え方によります。イメージ的には実力がありながらも最高位にのぼれなかった魁皇でしょう。
自分で申告するときは青色申告か白色申告かを選びます。どちらがいいでしょうか。
もちろん白色申告の方がハードルが低いです。ただし税務上のメリットは何もありません。優しい師匠の部屋に入門してブクブク太るだけで出世が遅れるより、厳しい師匠・兄弟子に鍛えられて強くなり税務上のメリットをフルに享受した方が絶対にいいです。65万円控除のほかにも、ある年に生じた赤字を3年間繰り越すことができる、仕事を手伝ってくれた奥さんに上限無しで給料を払えるなどの特典があります。会計ソフトを使えば貸借対照表も自動的に作れますから。
私の見聞きした範囲で、青色申告を取り消された人は1人しか知りません。帳簿の精度が低いということではなくて2年連続で申告期限に遅れたのです。このレベルの帳簿なら青、この程度なら白というように厳密な線引きがされるというわけではないので、とりあえず青色申告に挑戦することをおすすめします。
税理士 井田 直宏 著
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次回は「かんたんな帳簿の付け方」についてです。
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