2011年11月01日
経営者のための年末調整 第4回 「年末調整で誤りが多い事例(2)」
第4回 「 年末調整で誤りが多い事例(2) 」
第4回は、年末調整で誤りが多い事例の第2弾です。
今回は、年末調整では受けられない控除と、外国人労働者や中途入社した方の年末調整について紹介をします。
1.医療費控除や寄付金控除は出来ません
だいたい11月頃になりますと、年末調整の書類を従業員から集めるようになります。各種の申告書や、保険料などの支払額についての証明書を提出してもらうのですが、中には医療費の領収書を提出される方がいます。
そのときは決まって、「医療費控除もやっておいて」と言われるのですが、残念ながら医療費控除は年末調整で行うことができません。医療費控除は、確定申告という手続きで行う必要があります。
また平成20年から、「ふるさと納税制度」が実施されました。
「ふるさと納税」とは、自分が貢献をしたいと考える地方自治体に寄付という形で納めることで、所得税や住民税から一定の寄付金控除を受けられるという制度です。
ただし、寄付金控除についても年末調整で受けることはできません。医療費控除と同じで確定申告をすることで控除を受けることができます。
2.住宅ローン控除を受けたい人は?
今年中に、金融機関から借り入れをして住宅を購入し居住を開始すると、10年間で最大400万円の税額控除を受けることができます。また、その住宅が長期優良住宅の認定を受けた場合には、控除額が10年間で最大600万円に引き上げられます。
このため、今年になって住宅を購入し、住宅ローン控除を受けようと考えている方もみえるでしょう。しかしこの場合、今年は年末調整で住宅ローン控除を受けることができません。なぜなら住宅ローン控除は、初年度だけは確定申告を行う必要があるからです。
なお、初年度に住宅ローン控除を受けるために確定申告を行っていれば、2年目からは年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。
年末調整で住宅ローン控除を受ける方がいるときは、確定申告した際に交付される「住宅借入金等特別控除申告書」と、銀行などから送られてくる「借入金残高証明書」を併せて会社に提出してもらいましょう。
3.外国人労働者の年末調整
国内に住所を有する人と、引き続いて1年以上居所を有する人を「居住者」といいます。
外国人労働者のうち居住者については、国籍にかかわらず年末調整を行うことができます。
しかし、国内に住所や1年以上の居所を有しない、いわゆる非居住者である外国人労働者については、年末調整の対象ではありません。
なお、非居住者に対して支払う給与や賞与については、源泉徴収する税額は一律支払額の20%になりますので、注意してください。
4.中途入社した方の年末調整
今年入社された社員で、今年のうちに前の会社から給与の支払いを受けていた場合には、その会社の給与を合算して年末調整を行うことができます。その際には、前職分の源泉徴収票を提出してもらう必要があります。
源泉徴収票には、支払を受けた給与の金額だけではなく、その給与から差し引かれた社会保険料や源泉徴収された税額が記載されているからで、これらのデータがないと前職分の給与を合算して年末調整を行うことができないからです。
前職分の源泉徴収票は、通常その会社を退職した時に交付されますが、まだ交付を受けていない場合は、早めに前の会社に連絡をして源泉徴収票を入手してもらいましょう。
税理士 加藤 裕二 著
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