2009年04月20日

<相続シリーズ>第7回              相続人に通知しても返事がない時は・・・

みなさんこんにちは。

 前回は相続人に通知しても住民票の住所地にいない場合の手続きについてお話しました。今回は、住所地に通知を送り相手に相続開始のお知らせ等を送ったが、返事(回答)がなく相続手続きに支障が出る場合についてお話します。

相続シリーズ第7回 
「相続人に通知しても返事がない時は・・・」
について


【よくあるケース】
 被相続人が再婚した場合は、前の配偶者との間に子供がいる場合があります。その子供とは生まれてすぐに別れて、その後数十年一度も会ったことがない…。このような事案は実務上よくあることです。
 私も業務で、被相続人に数十年間一度も会ったことない相続人に通知を送ることが多々あります。「相続のお知らせ」として、被相続人が亡くなった事実と戸籍調査の結果相続人であることなどを文書にして相手に送ります。


【通知の方法】
 この時、相手に送る通知を「配達証明郵便」で送ります。配達証明郵便とは、確かに送付先相手に通知を届けたことを証明してくれる郵便です。その配達証明郵便を送ったことで、相手が確かに住所地にいることが判明し、その相手が受けとったことは確認できます。しかし、2週間〜1ヶ月経っても相手から返事がないことがあります。困りました・・・
 今度は「内容証明郵便」で相手に通知します。内容証明郵便は、相手に送った文書の内容と相手に確かに送ったことの両方を証明してくれます。
 本当に相手に通知をしたかも大切なことです。内容証明にて相続が発生したこと、財産の総額、相続権の割合、債務負担などを記載して、受取った相手が相続を受けるか放棄するかを検討できる内容であることが必要です。


【相続人全員の意思を確認出来ないときは・・・】
 数十年会ったことのない親族からいきなり通知をもらったら戸惑うことでしょう。また、離婚されたことを恨んでいる相続人もいるでしょう。このようなケースは相手が返事を行わないことが稀にあります。
 相続人の1人が遺産分割協議に参加しないだけで、他の相続人は相続財産が欲しいのにもらえないとか、相続財産の中から葬儀代金、入院費用、その他被相続人の債務を清算しようと思っているのにそれが出来ないのは大変不都合です。   
 そこで、相手に「遺産分割協議に参加してください。」と再三にわたり呼びかけをしたが返答がない時は、その返答がない相続人以外で相続手続きが可能となる場合があります。銀行と証券会社の手続きは、参加を呼びかけたが、参加する意思がない相続人以外で手続きが可能であるとの判例があります。

 本来は、銀行や証券会社が事前に用意してある遺産分割協議の書類等に各相続人が署名及び実印の押印を行います。しかし、一部の相続人が遺産分割に参加する意思がないことを証明すれば、その相続人を除いて手続きができます。その証明は、先ほど説明した「配達証明郵便」を送り、それでも返事がないから「内容証明郵便」も送ったけど返事がなかったと主張します。

 こうすることで各金融機関によって手続きは異なりますが、遺産分割手続きに参加しなかった相続人の財産権利以外の預金引き出しに応じたり、相続人代表に全財産の支払いを行ったりなどの手続きに応じてくれます。このようなケースに遭遇した時は、最後まで諦めずに頑張ってください。

 相続が発生してから慌てないように、公正証書遺言で相続人を指定しておくと手続きが大変楽になります。また、前もって相続人が誰かを特定しておくこともいいかもしれません。備えあれば・・・ですよね。

それでは今回は以上です。



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