2009年04月06日

<相続シリーズ>第6回              相続人の一部が行方知らずの場合の手続き

みなさんこんにちは。

 前回は遺産分割協議書の作成を行う上で、相続人の確定・相続財産の確定をし、相続人間で話し合いをして財産の分割を決めることを説明しました。ところが実務上では、相続人に通知をしても相手の行方が分からず手続きが出来ないことも起こります。今回はよくある『行方知らずの相続人がいる』場合の手続きを説明していきます。

相続シリーズ第6回 
「相続人の一部が行方知らずの場合の手続き」について


【行方が分からないとは…】
 相続人を確定するには、被相続人(死亡した人)の生まれてから亡くなるまでの戸籍を全て取得します。自分の親が亡くなった場合を想像してください。親が以前結婚していてその間に子供がいたとしましょう。この子供はあなたにとって兄弟姉妹となります。この場合その兄弟姉妹と一度も会ったこともないケースがほとんどです。この時、その相手の住所を調べる方法として「戸籍の附票(ふひょう)」を取得します。この戸籍の附票には相手の住所が記載されています。

※戸籍の附票…その人の本籍地において、過去に移転した住所地を全て記載されたもの。(住民票は現在の住所地及び前の住所地しか記載されません)


【住所地に通知を送る】
 一度も会ったことなくても、法律上は立派な相続人です。金融機関にある相続財産を引き出すには相続人全員の印鑑証明と払戻し請求書面に実印の押印が必要です。金融機関は相続人全員の実印が押印されていないと絶対に支払いに応じてくれません。そこで戸籍上の相続人全員の通知などをして相続人になったことを知らせ相続手続きに参加してもらいます。

 一度も会ったことがない人への通知は当然に戸籍の附票(住民票)に記載された住所地にします。人によっては住民票上の住所に住んでいない人がいます。例えば、夜逃げした人、住民票の移転をしないで引っ越した人、住民票上以外の近くに住んでいるなど…

 とにかく住民票上の住所地に住んでいない相続人には相続があったことのお知らせが出来ず、実印ももらえないことになります。そうすると金融機関にある相続財産はいつまで経っても下ろせないことになります。


【不在者財産管理人選任】
 いつまで経っても相続財産が下ろせないと、他の相続人が困ります。よくあるケースでは、一部の相続人が相続財産を見越して葬儀費用などを立替えた場合です。その他、被相続人の病院代や死亡するまでの税金・家賃など…親族が払いきれない場合は支払いを待ってもらっていることも多々あります。そこで、一日も早く相続手続きを終わらすために、家庭裁判所に関係者が不在者財産管理人選任の申立を行います。

 不在者の相続手続きは、この財産管理人が代わりに行います。こうすることで、不在者の権利を守りつつ他の相続人も困ることなく手続きが行えます。不在者財産管理人は行方知らずの相続人が現れるまでその財産の管理をします。

 なにも行方知らずの人は夜逃げした人ばかりではなく、海外旅行に半年〜1年くらい行ったまま連絡がつかない場合もあります。行方知らずの間は財産管理人が相続財産を管理して、この相続人が海外旅行から帰国した時に財産管理人から相続財産を受取ります。(当然に管理人は相続財産から報酬をいただきます)

 相続手続きで困った時は、弁護士や行政書士に相談してみてください。今回は以上です。



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