2009年03月09日

<相続シリーズ>第4回             「特別受益」と「寄与分」について

みなさんこんにちは。

 第1回から3回にわたり「相続人と相続分」について話をしてきました。今回はあまり聞き慣れない言葉ですが、「特別受益」と「寄与分」についてお話させていただきます。

相続シリーズ第4回 
「特別受益」と「寄与分」について

 相続財産は被相続人が死亡した時の残った財産が対象となります。しかし、被相続人が生前に自分の財産(預金口座のお金等)を使ったり、働いて稼いだお金を預貯金して財産を増やしたりして財産は変動していきます。
また、自分自身で財産を増やしたり使ったりする以外に、一部の相続人がその財産を生前にもらったり、財産の増加に貢献したりすることもあります。実務上の相談では、よくこの「特別受益」や「寄与分」などの相談・質問を受けますので今回はこの話を中心にしていきたいと思います。

【特別受益とは】
 被相続人を父、相続人が母、長男、次男の3人とします。長男は生前にお父さんから多額の贈与を受けていました。そうすると、母や次男の相続時に受取る財産が減ってしまいます。
生前贈与の例として、大学の学費・婚姻費用の負担・借金の返済を肩代わりしてもらうなどがあります。具体的に学費の場合で説明すると、長男は大学に進学して入学金・学費、仕送りなどを含め1200万円の負担をお父さんからしてもらっていました。ところが次男は高校卒業後すぐに就職しました。このように同じ子ども同士でも、親からの財産移転という観点からは不公平が生じています。

 このように、一部の相続人が生前に被相続人から特別に資金など提供を受けていた場合を「特別受益」として、相続財産の分割においてその贈与分の価格を差し引くように法律上規定されています。(民法903条)


【寄与分とは】
 上記の例で、長男は父の仕事(文具商店)を一緒に手伝い、長年にわたり父の仕事をサポートして会社の業績アップに貢献してきました。長男の手腕により父の財産がたくさん増えました。ところが、次男はサラリーマンとして生活をしてきて、特に父に仕送りとかはしていませんでした。
 
 このように、一部の相続人の働きにより被相続人の財産が増えた場合を「寄与分」として、法定相続分を超える財産の分割を認めてもらえるように法律上規定されています。(民法904条)
 また、この事例のように「労務の提供」以外にも「被相続人の療養看護」を特別に行った場合も寄与分として認められる場合があります。例えば、子どもが病気になった父親のために勤めをやめて身の回りの世話や入院中の看護をする場合などが考えられます。どの程度寄与したかは、基本的に金銭で算定します。療養看護など金銭で算定することが難しいものは、会社を退社したり休業したりした場合は看護した期間の給与相当分といったようにして寄与分を計算します。

【「特別受益」と「寄与分」も考慮した遺産分割】
 ‘段娘益の計算
  生前贈与された金額を相続開始の時の財産に戻して
 (持戻し)計算します。
  その金額(みなし相続財産)を法定相続分で分割します。
  特別受益者が受け取れる財産額は、ここで計算された
 計算額から既に受取った特別受益の価格分を引いた残額
 となります。(民法903条)
  すでに受取った特別受益の額が相続分を超える場合
 相続分を受取ることは出来ませんが、超過分を返還する
 必要はありません。


 (具体例)
  被相続人を父、相続人が母、長男、次男の3人の家族で、
  生前に長男が生前贈与として2000万円受取っていて、
  父の死亡時の財産額が4000万円のケースで説明します。

 
  遺産分割するために、長男が生前受取った3000万円を
 持戻します。これでみなし相続財産は6000万円
(贈与分2000万+死亡時財産4000万)となります。
  これを法定相続で分配すると母3000万、長男・次男
 各1500万円となります。長男はすでに2000万円の贈与を
 受けているので、今回の遺産分割では0円となります。

 寄与分の計算
  相続開始の財産価格から寄与した人の価格を控除した
 ものをみなし相続財産として、これをもとに法定相続分で
 分割します。

 (具体例)
  被相続人を父、相続人が母、長男、次男の3人の家族で、
  生前に長男が父の家業を手伝った貢献分として2000万円
  財産増加に貢献した。父の死亡時の財産額が6000万円に
  なっていたケースで説明します。


  遺産分割するために、死亡時の財産6000万円から
 寄与分2000万円を控除します。
  みなし相続財産は4000万となります。
  これを法定相続分配して妻2000万円、長男・次男
 各1000万円となります。さらに長男の寄与分2000万を
 長男の法定相続分に加算
して、長男の相続分は3000万
 円となります。

 F段娘益と寄与分が同時に発生する場合
相続開始時財産+特別受益−寄与分=みなし相続財産

  特別受益と寄与分を調整して、みなし相続財産を
 法定相続分配します。上記,鉢△把汗阿靴萄能的に
 遺産分割における相続財産が確定します。


 相続人間(時に子ども達の間)では、親から生前財産をもらった、もらわない、親の生前面倒見た、見ないでもめることが多いです。この特別受益と寄与分をよく理解して、お互いの立場を理解して遺産分割の話し合いをしてください。

 今回は以上です。



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