2008年08月08日

<民法実践編>                    第5回 相談事例 「代金の未払い」

みなさんこんにちは。

 今回も、事務所に相談された事例を使って民法の解説をしていこうと思います。

 契約に関するもめ事で一番多いのが、代金の未払いです。
 「友人にお金を貸したが、返してくれない。」
 「お客さんに商品を販売したが、代金が未だ支払われていない。」
 などなど、そんなトラブルが発生することがあります。

 こんな時はどう対処すればいいでしょうか?

 まずは、もう一度相手に債務を履行するようにお願いする。
 意外にこれで相手が支払ってくれる場合も多いです。相手がついうっかり支払いを忘れている場合には大変有効な手段です。

 相手に再度支払いを請求したが、それでも支払われない場合(債務不履行等)はいくつか選択肢があります。裁判所を利用して、強制執行という方法もあります。しかし、現実は手続きが面倒で、相手の差押さえる財産(郵便貯金・銀行預金など)など特定できないと空振りに終わることもあります。

 そこで、ある程度簡単に債権を回収できる方法として債権を譲渡して、代金(全額又は一部)を回収する方法があります。

 実際の相談者でも、「この債権の譲渡をしたいから手続きしてください。」と始めから債権譲渡の制度を分かっていて相談に来られることもあります。

 ただし、この債権譲渡には決まり(ルール)があります。

 1.譲渡できない債権でないこと。(民法466条)
   〕名な画家に肖像画を描いてもらうこと。
     (その人以外しか出来ないことは譲渡しても実現
      不可能だから。)
    ∨[Ь絛愡澆気譴討い襦(年金債権等)
    7戚鵑砲いて、当事者の意思で債権譲渡を
    禁止した場合。


 2.債務者に対する対抗要件を行うこと。(民法467条)
   A君はBさんから100万円を借りた。
    この場合は、A君が債務者でBさんは債権者である。
    債務者であるA君が100万円返してくれないのでBさん
    は「債権譲渡」を考えている。BさんはCさんに債権譲渡
    をすることとした。

 このケースで債権譲渡を有効にするためには
 ‐渡人(債権者)Bさんから債務者Aさんに、債権をCさん
  に譲渡したことを通知する。
 ∈通骸Bさんが承諾すること。

 この通知は、債権を譲渡したCさんが行うことは出来ません。
 なぜなら、A君とCさんはまったく関係のない人物だからです。
 みなさんも友人からお金を借りて、しばらくして、まったく知ら
ない人から、「債権を譲り受けたから返済は俺にしろ!」と急に言われても困りますよね。
 本当に債権譲渡されたか本人に確認しないと心配です。

 ただ、例外として、まったく知らない人から、「債権を譲り受けたから返済は俺にしろ!」と言われ、債務者が「分かりました」と承諾してしまうと債権譲渡が有効となってしまいます。
 もともと、債権譲渡されることを分かっている場合は特に問題ないのですが、何がなんだか分からないうちに承諾するのは危険です。

 何故なら、みなさんがお金を貸したり、借りたりするときは相手を選んでいますよね。この人なら大丈夫とか信頼できるとかなど…。ところが、借主が急に変更されたら困りますよね。新しい債権者がどんな人かもわからないし…。

 そこで、債権譲渡は原則自由に出来るが、そのルールが法律で定められているのです。(契約自由の例外)
 
 みなさんは、個人間のお金の貸し借りは十分に注意してください。

(債権の譲渡性)
第四百六十六条
債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
(指名債権の譲渡の対抗要件)
第四百六十七条
指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
第四百六十八条
債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができない。この場合において、債務者がその債務を消滅させるために譲渡人に払い渡したものがあるときはこれを取り戻し、譲渡人に対して負担した債務があるときはこれを成立しないものとみなすことができる。
2 譲渡人が譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。

 
 次回も事例をもとに、民法の解説をしていこうと思います。




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