2008年07月04日

<民法実践編>                    第4回 相談事例 「時効の中断」

みなさんこんにちは。

 今回は実際に私の事務所に相談があった事例をもとにお話していきます。
 
 先日、私の事務所にこんな相談がありました。
 「時効が完了していないみたいなんです。」
 「時効は完成したと思っていたのですが…。」
 「相手が金返せとしつこくて…。」

 相談者はこんな感じで悩み事を訴えてきます。
 
 そこで私は事実関係を把握するためにヒアリングをしました。

 相談者の悩み事を詳しく説明すると、、、 
 10年ほど前に友人から100万円を借りた。
 借りてから2回ぐらい返済したが、後はずっと返済せず今日
まで過ごしてきた。返済していない間、何回か督促はされたが1円も返済しなかった。時効10年になる少し前に内容証明郵便で支払いの督促をされたが、払うつもりもなかったので無視した。内容証明が届いて2週間後に時効の10年が経過したので借金を支払わなくてもよいと喜んでいたら、先日裁判所から友人から借りた金銭の支払いについての訴状が届いたとのこと。
 
 そこで私の事務所に相談に来たという訳です。
 いくつか論点があるので解説しています。

 【消滅時効について】
  債権を長い間、権利行使しないで放置しているとこの権利
 が消滅します。つまり、相手にお金を貸しても、しばらく権利
 行使しないとお金を返してもらえなくなります。
  これを一般的に消滅時効といい、権利の内容によって消滅
 時効期間が異なります。
<主な消滅時効の期間>
ホテル・旅館・料理店の飲食代
1年
労働者の給料・
手当その他の請求権(退職金は除く)
2年
交通事故・傷害事件などによる損害賠償請求
3年
商売上の貸借金税金その他国に対する債権・
債務労働者の退職金
5年
個人間の貸借金確定判決・裁判上の和解・
調停に基づく請求権
10年

 お金を貸した方としては、時効を中断して権利が消滅するのを防ぐ手段が法律上あります。時効を中断すると、それまで経過した時効期間の経過を『ふりだし』に戻す効果があります。
 相談者の例なら、時効が中断されたら時効消滅するにはまた10年が必要になります。

 法律上、時効の中断として認められるのは以下の3つになります。
 (1)裁判所が関与する形で権利者が権利を主張する訴
  え、支払督促の申立、和解、調停の申立による請求
 (2)差押、仮差押、仮処分
 (3)承認(債務者が債権者に対して自分の債務を認める
  こと)

    ※承認には「一部の弁済」や「利息の支払」などもあり、
    借りた金額の代金の一部を支払うと(1円でも支払いを
    する)債務を認めたことになります。

 時効の期日が差し迫って、相手が支払いに応じてくれない(承認に応じない)場合は、催告をすれば6ヶ月間は時効期
間が延長
します。口頭での催告も有効ですが、いつ催告したかがあいまいになるので「内容証明郵便」で行うのが一般的です。
 ただし、この催告は裁判外の催告なので、一時的に期間を延長させるもので再延長はできません。時効を中断したい場合は、裁判所を通じて訴えを(請求)を行う必要があります。内容証明を送って相手が承認(一部の弁済や利息の支払い)をすれば裁判に訴える必要はなく、時効は中断します。

 私の事務所に来た相談者は、時効完了前に内容証明郵便で催告され、時効が延長している間に裁判上での訴え(請求)されてしまったということです。相談者は時効が中断し、借金がなくならないので、きちんと返済するか債務整理するようアドバイスをしました。

 みなさんも時効の中断は覚えておいてください。
 実際によく遭遇する相談事です。




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