2008年06月20日

<民法実践編>                    第3回 契約条項 「損害賠償の請求」

みなさんこんにちは。

 前回は、契約の解除について解説しました。
 今回は、損害賠償の請求について解説していきます。

 今回は説明するポイントが多いので、早速、本題に入ります。
 それでは、どんな時に損害賠償を請求できるのか?
                       (されるのか?)

 簡単に申し上げると、「契約を守らず、相手に損害が発生した場合」に請求できます。

 最近のニュースからの具体例を挙げると、

  うなぎを買付ける商社Aから販売店Bは、国産うなぎを仕
 入れる契約を締結しました。そして販売店Bは一般消費者へ
 販売を行っていた。ところが、商社Aが卸していたうなぎが国
 産ではなく中国産であったことが判明。販売店Bは消費
 者から信頼をなくし廃業に追い込まれそうな状態である…

 最近、食品偽装に関するニュースをよく耳にすると思います。

 上記の例では、商社Aは「国産うなぎ」を販売店Bに引渡す義務を守らず、そのことによって販売店Bは、一般消費者から信頼をなくし売上が激減。そのことによって実際に損害が発生した。
 よって、BはAに損害賠償が請求できる。(過失責任の原則)

 それでは、どのくらい賠償請求ができるのか?

 法律上は「通常発生する範囲内の損害」と決められています。特別の場合は、特別の事情を加味した損害賠償を請求できる。(ここでは特別の場合の説明は割愛します。)
 記の例では、売上減少した分や信頼をなくしたことによる慰謝料的なことも請求できるでしょう。ただし、損害額を算出するのは結構面倒で大変です。

 そこで、契約書を締結する時に、あらかじめ「損害賠償額の予定」(民法420条)として賠償金額を決めてしまう方法があります。
 このメリットは、損害が発生した場合は、損害の額を証明しなくても、約束で決めた損害賠償額を請求することができます。
 
 例えば、「商社Aが納入した商品の欠陥により販売店Bに損害が発生した場合は、損害補償として金200万円を支払うこととする…

 このようにあらかじめ約束しておけば、損害が発生した時は、すぐに損害賠償を請求できます。ただし、デメリットもあります。
 もし、後になって実際の損害額を計算したら450万円だったとして、追加で賠償金を請求できません。
 また、実際の損害が100万円であっても、200万の賠償金がもらえることになります。

 契約書はお互いがトラブルにならないために作成するのが一般的です。

 特に、「契約の解除」「損害賠償」に関する条項は良く話し合って、お互いが納得して決めてください。

(債務不履行による損害賠償)
第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
(損害賠償の範囲)
第416条
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
(賠償額の予定)
第420条
当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。

 次回は、実際に事務所に相談があった事例などを取り入れて、解説していきたいと考えています。

損害賠償の算定(交通事故による場合)
  <民法実践編>第12回のコラムをご覧ください。




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