2008年05月23日

<民法実践編>                    第1回 「契約書の概要」

前回から、より実践的な内容にリニューアルしてお届けしているコラムですが、今回もより実践的な内容でお送りします。

前回の最後に、民法90条の公序良俗違反及び契約自由の原則についてお話しましたが、今日は「契約自由の原則」を実践的に説明します。

 契約は口頭(口約束)でも有効です。
 別に契約書を交わさなくても問題ありません。
 「契約自由の原則」だから、契約書に絶対に書かなくてはいけない条項や文言などもありません。

 ただ、実務的には契約書には以下のことを記載するようにしています。

 1.表題(タイトル)
  契約内容が一目でわかるように契約書の一番上に「金銭
 消費貸借契約」
とか「不動産売買契約」などのタイトルを
 記載します。

 2.前文
  契約条項の前に、「○○株式会社(以下「甲」という)と
 ○○哲夫(以下乙という)は、次のとおり、物品販売契
 約を締結する。」
といった文のこと。
  これより、誰と誰が何の契約を締結するが分かります。

 3.目的条項及び契約の内容
  【記載例】
  第1条(売買の目的)
     甲は、下記物品(以下「本件物件」という)を乙に売り
    渡し、甲はこれを買い受けることを目的とする。
    2 目的となる物品は次のとおりとする。
      品名 ○○○○○○
      数量 ○○個

  その他、「物品の引渡し方法」「販売価格」「支払い方法」
 「契約解除」「損害賠償」などの条項なども記載しています。

 4.作成年月日
  契約書がいつ作成されたかを証明するものとして、記載が
 非常に重要です。
  日付は、契約の有効期間を確定したり、時効の起算点
 証明したり絶対に記載漏がないようにしたい事柄です。

 5.署名押印(記名捺印)
  誰と誰が契約を締結したかを第三者にも分かるようにする
 ためサインをします。

  そのサインも望ましい記載方法があります。
  
  個人が契約者なら、その住所を記載して署名・押印を行い
 ます。
  法人であるなら、本店所在地、法人名を記載して代表者が
 署名・押印
をします。
  
  この際使用する印鑑は何でも構わないのですが、より証明
 力を強くするためには個人は市区町村に登録してある実印で
 押印
して、契約書には印鑑証明証を添付します。
  法人の場合は、法務局に登録してある代表者印で押印
 て、同じく契約書には印鑑証明証を添付します。

  印鑑証明証は、原則本人しか取得できないので、その印鑑証明証が添付しあり実印が押印してあれば、間違いなく本人が契約したと証明できるのです。


 「契約自由の原則」はありますが、争いを避けるためにも上記1〜5の事項は必ず契約書に盛り込むことをお勧めします。
 契約書はいつ、どこで、誰が、どんな契約をしたかを証明し、契約を守れなかった場合はどうなるのかをあらかじめ決めておくものです。(損害賠償・契約解除など)

次回以降はさらに「契約条項」についてお話していきます。




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