2008年05月09日

<民法全体のお話> 「民法の主な役割」

みなさん、連休はいかがでしたか?
私は事務所の溜まった仕事を片付けたりしてあまり遊べませんでした。

 気分新たにコラムの掲載を行っていきたいと思います。
 前回までは、
 「契約自由の原則」(第1回)
 「契約の条件・期間」(第2回)
 「契約の無効・取消」(第3回〜第6回)
 などについてお話をしてきました。
 また、「契約の解除」や前回告知した「代理」など説明をする前に、民法全体の話を今回行います。
 さらに当事務所で相談に来た契約書作成の例を使って、よりリアルなお話を今後検討していきます。

 それでは本題に入ります。
 
 みなさん、民法は法律の一種ですよね。
 法律は絶対に守らなければならないものと思っていますか?

 民法は刑法と違って、みなさんは特に民法を守らなくてもいいのです!!

 思わず、「何言っているんだ??」と、みんながツッコんでいるでしょう。

 でも、思い出してください。
 
「契約自由の原則」がありましたよね。

 契約を行うとき民法の決まりを気にせず、契約当事者が自由に契約内容を決めることができる原則です。

 では、なぜ民法があるのか?

 それは、お互い合意して契約を締結しても全ての内容を網羅できません。

 例えば、T製作所が自動車のモーターの一部を製造して、S商社に販売する契約を締結しました。信頼関係にあった両者は特に損害賠償の項目を契約書に定めませんでした。

 ところが、T製作所の製作した部品に欠陥があり、S商社に被害が発生しました。この場合民法上、不法行為に基づく損害賠償請求が認められています。   
民法709条 
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 契約書に書かれていないことは、民法を使ってお互い問題解決を図ります。
 よって、S商社は契約書に書いていなくても、民法709条を根拠に損害賠償請求を行えます。ただし、契約書に「損害が発生しても賠償請求は一切行わない」とお互いが合意した条項があれば、「契約自由の原則」によりお互いの契約が優先されます。

 次に、S商社はいくら損害賠償を請求できるのか?
 これも困りますよね。そこで民法の条文をあたります。
民法416条1項 
 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
 条文から、S商社はきちんとした商品が納入されなかったことによって発生した被害に対する金額を請求できることになります。(例えば、販売先から納入していれば得るはずだった利益、トラブルにおいて発生した余分な経費など…)

 なんとなく民法を実社会でどのように活用するかお解かりいただけましたか?

 民法は、お互いの契約の不備や不足を補うのが主な役割となります。

 ただし、いくら契約自由の原則だからといってどんな契約でも締結できる訳ではありません。
 あなたは覚えていますか?
 民法90条の条文。 
民法90条 
 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。
 ※詳しい内容は<民法入門編>第3回のコラムをご覧ください。

 これからはより実践的な内容も交えてこのコラムの掲載を行っていこうと考えています。
 
 次回は、早速、「契約書の概要」についてお話します。




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