2008年04月18日
＜民法入門編＞ 第6回 「契約の取消��-2」 〜制限行為能力者の契約取消〜
前回は＜契約の無効・取消・解除＞シリーズ
第2部 「「契約の取消�◆�1」」〜未成年者の契約取消〜
について基本事項をお話しました。
今回は、
第2部 「契約の取消�◆�2」
〜制限行為能力者の契約取消〜についてお話します。
前回は制限行為能力者のうち「未成年者」についてお話しましたが、今回は残りの制限行為能力者の「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についてお話します。
3つの用語について解説していきます。
はじめに、「成年被後見人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力を欠く常況にある人」とされています。簡単に説明すると、おじいちゃん・おばあちゃんが呆けてしまって、物事が理解できない状態の人を指します。
この人たちは自分では正しい判断ができないので、この成年被後見人には成年後見人という保護者がつきます。呆けてしまった人は自分では判断ができないので、保護者である成年後見人に代理権と取消権が付与されます。（成年後見制度といって、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。）
法律行為(契約等)は成年後見人が代理人として代わりに契約を行います。また、悪徳業者が呆けてしまった老人を騙して契約を行った場合は、成年後見人がその契約を取消すこともできます。
ここでの取消は、詐欺でなくても取消せます。例えば、普通の業者が呆け老人と知らずに契約した場合でも、相手方は騙したわけでなくても取消せるのです。（ただし、日用品の購入などは成年被後見人も単独で契約できます。）
次に「被保佐人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力が著しく不十分な人」とされています。簡単なことなら自分で判断できるが、法律上の一定の重要事項（民法13条1項各号参照）は、援助してもらわなければできない人を指します。
被保佐人の保護者を保佐人といい、一定の重要事項（民法13条1項各号参照）の法律行為を行うには、保佐人の同意を得なければ行えません。裏を返せば、それ以外のことは単独で法律行為が行えます。
ただし、裁判所に申し立てをする時に、一定の法律行為につき代理権を保佐人に付与したり、一定の重要事項以外の法律行為に同意権を与えたりすることも可能です。（オプションを追加するみたいに…）
最後に「被補助人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力が著しく不十分な人」とされています。大体のことは自分で判断できるが、難しいことは援助してもらう必要がある人を指します。
補助人は、援助が必要なことを裁判所に申し立て、定められた一定の事項について、被補助人に代わって法律行為をしたり(代理権)、被補助人が法律行為を行うときに同意したり(同意権)することで保護します。もし、補助人の同意が必要な法律行為を同意なしで行った場合、その法律行為は取消すことができます。
以上のように、本人の意思レベルに合わせて法律行為が制限されていて、単独では法律行為が行えない人たちのことを制限行為能力者と定義されます。この制度の大きな特徴は、本人(制限行為能力者)が単独では行えない法律行為をした場合(契約締結等)は、その法律行為を取消すことができます。
しかし、取引した相手側が制限行為能力者かどうか、完全に痴呆症の人以外見分けがつきません。だから、この制度を利用するには、家庭裁判所に申し立てをして、審判して、制限行為能力者であることを登記することで一般の人にも契約の相手方が制限行為能力者かどうか分かるような制度となっています。
近年、うちの事務所でも「成年後見制度」に関する相談が多くなっています。高齢社会には大変重要な制度です。
次回は、「代理」についてお話します。
第2部 「「契約の取消�◆�1」」〜未成年者の契約取消〜
について基本事項をお話しました。
今回は、
第2部 「契約の取消�◆�2」
〜制限行為能力者の契約取消〜についてお話します。
前回は制限行為能力者のうち「未成年者」についてお話しましたが、今回は残りの制限行為能力者の「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」についてお話します。
3つの用語について解説していきます。
はじめに、「成年被後見人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力を欠く常況にある人」とされています。簡単に説明すると、おじいちゃん・おばあちゃんが呆けてしまって、物事が理解できない状態の人を指します。
この人たちは自分では正しい判断ができないので、この成年被後見人には成年後見人という保護者がつきます。呆けてしまった人は自分では判断ができないので、保護者である成年後見人に代理権と取消権が付与されます。（成年後見制度といって、家庭裁判所に申し立てをする必要があります。）
法律行為(契約等)は成年後見人が代理人として代わりに契約を行います。また、悪徳業者が呆けてしまった老人を騙して契約を行った場合は、成年後見人がその契約を取消すこともできます。
ここでの取消は、詐欺でなくても取消せます。例えば、普通の業者が呆け老人と知らずに契約した場合でも、相手方は騙したわけでなくても取消せるのです。（ただし、日用品の購入などは成年被後見人も単独で契約できます。）
次に「被保佐人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力が著しく不十分な人」とされています。簡単なことなら自分で判断できるが、法律上の一定の重要事項（民法13条1項各号参照）は、援助してもらわなければできない人を指します。
被保佐人の保護者を保佐人といい、一定の重要事項（民法13条1項各号参照）の法律行為を行うには、保佐人の同意を得なければ行えません。裏を返せば、それ以外のことは単独で法律行為が行えます。
ただし、裁判所に申し立てをする時に、一定の法律行為につき代理権を保佐人に付与したり、一定の重要事項以外の法律行為に同意権を与えたりすることも可能です。（オプションを追加するみたいに…）
最後に「被補助人」とは
民法の条文では「精神上の障害（認知症・知的障害・精神障害等）により判断能力が著しく不十分な人」とされています。大体のことは自分で判断できるが、難しいことは援助してもらう必要がある人を指します。
補助人は、援助が必要なことを裁判所に申し立て、定められた一定の事項について、被補助人に代わって法律行為をしたり(代理権)、被補助人が法律行為を行うときに同意したり(同意権)することで保護します。もし、補助人の同意が必要な法律行為を同意なしで行った場合、その法律行為は取消すことができます。
以上のように、本人の意思レベルに合わせて法律行為が制限されていて、単独では法律行為が行えない人たちのことを制限行為能力者と定義されます。この制度の大きな特徴は、本人(制限行為能力者)が単独では行えない法律行為をした場合(契約締結等)は、その法律行為を取消すことができます。
しかし、取引した相手側が制限行為能力者かどうか、完全に痴呆症の人以外見分けがつきません。だから、この制度を利用するには、家庭裁判所に申し立てをして、審判して、制限行為能力者であることを登記することで一般の人にも契約の相手方が制限行為能力者かどうか分かるような制度となっています。
近年、うちの事務所でも「成年後見制度」に関する相談が多くなっています。高齢社会には大変重要な制度です。
次回は、「代理」についてお話します。
【 行政書士によるコラムのトップ 】
