2014年09月

2014年09月29日

無予告の税務調査

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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無予告の税務調査

【質問】
税務調査の手続きで、無予告調査について規定が定められたという話を聞きました。税務調査は予告なしに行われるようになるのでしょうか?

【答え】
無予告調査については、事務運営指針と通達により、要件が定められることとなりました。
また、要件に従っていない無予告調査は、これらの規定を根拠に抗弁できるようになりました。



平成25年1月1日以降実施される税務調査において「税務調査の手続き」が詳細に規定されるようになりました。
その中の一つが、無予告調査に関する要件の整備です。

これまでは、法律上に税務調査は「事前の通知をしなければならない」と記載されているわけではなかったため、事実上認められていたと解釈されていました。

しかし、法改正により、事務運営指針と通達により、無予告調査に関する要件が定められました。

事務運営方針では、「事前通知を行わない場合の手続き」として

「実地の調査を行う場合において、納税義務者の申告もしくは過去の調査結果の内容またはその営む事業内容に関する情報その他国税庁、国税局又は税務署がその時点で保有する情報に鑑み、

(1)違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ
(2)その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ

があると認められる場合には、事前通知を行わないものとする。

この場合、事前通知を行わないことについては、法令及び手続き通達に基づき、個々の事案の事実関係に即してその適法性を適切に判断する。」

としています。

さらに通達では、定義を明確に定めています。
これにより、不当な(=要件に従っていない)無予告調査は、これらの規定を根拠に抗弁できるようになりました。

無予告調査の要件整備は、全ての税務調査が無予告になるということではありませんので、ご安心下さい。


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浦田泉税理士 
    浦田泉税理士事務所
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     東京都千代田区二番町
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2014年09月24日

テナントビルの遺産分割が成立しない場合の所得税・消費税

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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テナントビルの遺産分割が成立しない場合の所得税・消費税

【質問】
亡くなった母が所有しているテナントビルの遺産分割が成立しない状態が続いています。
この間の所得税や消費税の取扱いはどのようになるのでしょうか?


【答え】
どちらも、共同相続人の法定相続分に応じて申告をすることになります。


消費税と所得税に分けてご説明いたします。

●所得税
未分割の不動産が賃貸物件の場合には、遺産分割協議が調うまでの間も、テナント収入(賃貸収益)が生ずることとなります。
この間に生ずる賃貸収益については、その物件が共有状態であることから、共同相続人の法定相続分に応じて申告することになります。

ただし、遺産分割協議が調い、分割が確定した場合であっても、その効果は未分割期間中の所得の帰属に影響を及ぼすものではありません。
分割協議で確定した所有状況に基づく更正の請求等を行うことはできません。

●消費税
また、相続開始年の消費税についても、この法定相続分に応じたテナント収入が課税売上高となります。
ちなみに、遺産分割協議が調った後に、新たな所有者の方が「基準期間における課税売上高」を計算する場合、この法定相続分に応じたテナント収入をもとに判定を行うこととなります。


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2014年09月22日

宅地の遺産分割が済んでいない場合の相続税

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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宅地の遺産分割が済んでいない場合の相続税

【質問】
亡くなった母所有の宅地の遺産分割協議が成立しないままに、相続税の申告期限が近づいてきてしまいました。
この場合、相続税はどのような取扱いになるのでしょうか?


【答え】
各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い、申告をすることとなります。


亡くなられた方が有していた不動産の所有権は、遺産分割協議が成立するまでの間は定まりません。
法務局の登記簿上は亡くなられた方の氏名のままで、相続の権利がある方全員が所有者という状態(共有)になります。

相続税の申告期限(亡くなられた日から10カ月以内)になっても、この未分割の状態が続いている場合であっても、相続税に関して何もしなくてよい、ということはありません。
このような場合は、各相続人の財産を法定相続分に応じて取得したものとして計算を行い申告することになります。

ただし、共有状態のままでは、「小規模宅地等の課税価格の特例」の適用を受けることができません。

そのため、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には、特例の適用を受けることができる措置が設けられています。

この特例を受ける見込みがある場合は、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を忘れずに添付することが必要ですので、ご注意下さい。


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2014年09月18日

マンションの空き駐車場を他の人に賃貸したい

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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マンションの空き駐車場を他の人に賃貸したい

【質問】
マンション管理組合のものです。
ここ数年、当マンション内に設置した入居者用駐車場に4台ほど空きがある状態が続いています。
せっかくなので、入居者以外の人にも使ってもらえるような月極駐車場にしようかと思っていますが、何か問題はあるでしょうか?


【答え】
まず、管理規約で非区分所有者に対する駐車場の外部利用を認めていること、さらに、その駐車場収益はマンション管理費・修繕積立金に充当し、区分所有者に分配しないことが定められているかをご確認ください。
その上で、条件によっては駐車場収入が収益事業となるため、法人税が課税される可能性があります。



分譲マンション内に設置した入居者用駐車場の稼働率が低くなっている(特に都市部)、という話をよく耳にします。
元々お住まいであった方が高齢になられてマイカーを手放すケースが見受けられ、さらに新しく入居する若い方がマイカーを持っていない・・・など、様々な事情が重なっているのかと推察されます。
ご相談の方のように、何年も駐車場が複数台分、空いた状態ということも少なくないようです。

マンション管理組合は「組合」という名前は付いていますが、共有を前提とした民法の任意組合ではありません。管理組合の法人化も認められますが、基本的には、税務上「人格のない社団」として取り扱われます。

この「人格のない社団」は、収益事業のみに法人税が課されます。
駐車場を賃貸する「駐車場業」は、「収益事業」として取り扱われます。
とはいうものの、区分所有者に対する貸付けは、共済的事業の付随行為とされ、非収益事業として課税されません。
外部利用、ということになって、はじめて課税の問題が生じてきます。

入居者用駐車場を外部に賃貸する場合、以下のことが前提となりますので、まずご確認ください。

【前提】
(1)管理規約で非区分所有者に対する駐車場の外部利用を認めている
(2)その駐車場収益はマンション管理費・修繕積立金に充当し、区分所有者に分配しない。

この前提をクリアした上で、収益事業(課税される)になるかどうかは次の区分によります。

(ケース1)
区分所有者と非区分所有者を問わず募集を行い、条件も差異がない(区分所有者を優先しない)
・・・全部収益事業

(ケース2)
区分所有者の使用希望がない場合のみ募集し、区分所有者の使用希望があれば早期に明け渡す(区分所有者優先)
・・・外部利用のみ収益事業(要区分経理)

(ケース3)
原則として区分所有者のみに賃貸し、募集は行わない。非区分所有者からの申出により、ごく短期間の場合のみ外部への貸出しを認める
・・・全部非収益事業

ご相談の方のように、「空き駐車場」を埋めるために、月極駐車場の募集をかけて外部に貸付ける場合には、課税の対象となります。


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2014年09月04日

平成26年度、休眠会社が整理されます!

浦田泉税理士事務所 (東京都 千代田区)
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平成26年度、休眠会社が整理されます!

【質問】
かなり前に設立した法人が休眠状態となっています。
このまま放置しておいてもよいのでしょうか?


【答え】
平成26年度、全国の法務局が休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行います。 

休眠会社又は休眠一般法人について、法務大臣による公告及び登記所からの通知を行い、公告から2か月以内に事業を廃止していない旨の届出又は役員変更等の登記をしない場合には、登記官の職権で「みなし解散」の登記をします。



法務省が、休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施についての概要を発表しました。
全国の法務局は、平成26年度に休眠会社・休眠一般法人の整理作業を行うこととなりました。

休眠会社又は休眠一般法人について、法務大臣による公告及び登記所からの通知を行い、公告から2か月以内に 事業を廃止していない旨の届出又は役員変更等の登記をしない場合には、みなし解散の登記をする、というものです。

ここでいう「休眠会社」とは、最後の登記から12年を経過している株式会社(会社法第472条の休眠会社。特例有限会社は含まれません。)をいいます。
12年以内に登記事項証明書や代表者の届出印の印鑑証明書の交付を受けていたかどうかは関係がありませんのでご注意ください。


平成26年11月17日(月)の時点で休眠会社に該当する会社等は、平成27年1月19日(月)までに「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は登記(役員変更等の登記)の申請をしない限り、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記(「みなし解散」の登記)をすることとなるため、注意が必要です。 

なお、みなし解散の登記後3年以内に限り、解散したものとみなされた株式会社は、株主総会の特別決議によって、株式会社を継続することができます。 
継続したときは、2週間以内に継続の登記の申請をする必要があります。


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